国土交通省所有の多目的ダム。
上流に日本で最大の湖、琵琶湖を抱える淀川水系宇治川にある。
ドーム型アーチ式コンクリートダムという型式で、アーチダムのなかでも群を抜いて美しい曲線美を持っている。
上流に琵琶湖を持つという事で、水量がとても多く、よく放流するというイメージがある。
常用洪水吐からの放流は、吹き出すという表現が相応しい放流。
高圧の水が減勢工に叩きつけられるという印象だ。
取材日は雨だったので、放流しているかもしれないと期待したが、残念ながら放流をしていなかった。
このダムから、直下にある関西電力(株)の天ヶ瀬発電所に、最大186.14m3/sもの水が導水されている。
この程度の雨なら、発電所経由で全てまかなえてしまうのだろう。
他、このダム湖は揚水発電の下部ダムにもなっており、喜撰山発電所にて最大248m3/sの水を利用して、466,000kWの電力を生み出している。
ちなみに、上部ダムは喜撰山ダムである。
放流設備は、非常用洪水吐として、クレスト部にラジアルゲートが4門。
常用洪水吐として、高圧ローラーゲート(?)を3門備えている。
また、一部の非常用洪水吐には、フラップゲートが内蔵されている。
ダム見学においては不自由なく、様々な角度からダムを眺める事ができる。
下流には橋があり、真っ正面からダムを見ることができる。放流時、ぜひともここからダムを眺めてみたいものだ。
また、上からも眺める事もでき、アーチの美しさを堪能する事もできる。
ただ、唯一の欠点としては、駐車場が少ない事だ。
国土交通省直轄のダムという事なので、ここはぜひとも改善して欲しいところだ。
何はともあれ、とてもはんなりとしたダムなので、京都見学の際は、平等院鳳凰堂見学と共に、このダムにも訪れてもらいたいものである。
下流左岸側より堤体を眺める。
ドーム型アーチ式コンクリート型式の美しいフォルム。
上部より堤体を眺める。
かなり薄い堤体だった。
天端は徒歩でのみ通行可能。
下流正面より堤体を眺める。
右に見える建物は、関西電力(株)の天ヶ瀬発電所。
左の建物は、旧発電所。現在は、水理実験施設となっている。
発電所のアップ。
ダム湖より最大186.14m3/sの水が取水され、92,000kWの電力を生み出す。
発電を終えた水が、勢いよく水が流れ出ていた。
クレスト部に非常用洪水吐として、ラジアルゲートが4門。
常用洪水吐として、高圧ローラーゲート(?)が3門。
常用洪水吐のアップ。
綺麗な青色のゲートだった。
クレストゲートのアップ。
ラジアルゲートが4門で、一部フラップ付きのゲートだった。
天端より左岸に設置されている天ヶ瀬発電所を眺める。
下流の様子。
奥に橋が見えるが、そこからの眺めは最高だ。
また、さらに下流には平等院がある。
天端よりダム湖を眺める。
鳳凰湖というかっこよい名前。
右に天ヶ瀬発電所の取水口が見える。
インクライン。
巡視艇は、なんと驚き、ホバークラフトだった。
右岸より堤体を眺める。
左に天ヶ瀬発電所の取水口、右に管理所が見える。
クレストゲートのアップ。フラップ付きだ。
常用洪水吐の予備ゲートはごっつかった。
スペック
ダム名 | 天ヶ瀬(あまがせ)ダム |
ダム型式 | アーチ |
河川名/水系名 | 宇治川/淀川水系 |
所在地 | 京都府宇治市槙島町六石 |
位置 | 北緯34度52分51秒 東経135度49分42秒 |
着工年/完成年 | 1955年/1964年 |
用途 | 洪水調節、農地防災/上水道用水/発電 |
堤高 | 73.0m |
堤頂長 | 254.0m |
堤体積 | 122,000立方m |
流域面積 | 4,200平方km |
湛水面積 | 188ha |
総貯水容量 | 26,280,000立方m |
有効貯水容量 | 20,000,000立方m |
ダム湖名 | 鳳凰湖(ほうおうこ) |
管理 | 国土交通省 |
本体施工者 | 大林組 |
水位
設計洪水位 | |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | |
平常時最高水位(常時満水位) | EL 78.5m |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | EL 72.0m |
最低水位 | EL 58.0m |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
非常用洪水吐 | ラジアルゲート | W10.0m×H4.375m×4門 | 680m3/s |
常用洪水吐 | W3.59m×H4.74m×3門 | 1,110m3/s | |
低水放流設備 | ジェットフローゲート | Φ1.000m×2条 | 20m3/s |
発電所使用水量 | 天ヶ瀬発電所(関西電力) | 186.14m3/s | |
発電所使用水量 | 喜撰山発電所(関西電力) | 248m3/s |
アクセス
京滋バイパス宇治東ICより、府道7号線を宇治方面へ直進。
1.41kmほど走ると、宇治橋を渡る。
渡り終え、次の交差点を左折。府道3号線に入る。
左折してから500mほどのところに、トラップがあるが、府道どおりに左折。
平等院を左手に眺めながら車を進める。
平等院より2.22kmほど走ったところが天ヶ瀬ダムだ。
管理所手前右側に、駐車場とは呼べないが、ちょっとしたスペースがあるので、こちらに車を停めて見学するとよいだろう。
また、管理所脇の道を左折すると、堤体直下にかかる橋にたどり着く。
こちらもおすすめスポットだ。
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