電源開発(株)所有の発電専用ダム。
国内に12基しかない重力式アーチコンクリートという型式。
先日まで国内最大の貯水容量を誇っていた奥只見ダムのすぐ下流にあるが、管理用道路の奥にあるので、 通常では見学できない。
放流設備は、クレスト部にラジアルゲートが3門。その他、ホロージェットバルブを1条、密かに隠し持っている。
発電設備は2つある。
堤体に付帯している取水口からは、大鳥発電所の一号タービンに導流され、最大220m3/sの水を利用して95,000kWの電力を生み出す。
また、右岸に設置されている取水口は、2003年に増設された二号タービンに送られ、最大207m3/sの水を利用して87,000kWの発電をおこなっている。
堤高は83mとのことだが、堤体右岸側に設置されている一号タービンに導流するための水圧鉄管が太すぎて、バランス的に、そんなに堤高があるように見えない。
50mそこそこしか無いように思えるのである。
他、映画「ホワイトアウト」で、織田裕二が水圧鉄管から流れ着いたダムでもあるが、助けを呼んだダム管理小屋は残念ながら無かった。
難攻不落なダムだが、見学会など、機会があれば、ぜひとも訪れて頂きたいダムである。
重力式アーチという、国内に12基しかない珍しい型式の大鳥ダム。
堤体から突き出る水圧鉄管の太さに目を引く。
堤体がアーチ状になっている。
天端に建つ中央の建物は、一号発電用取水口のゲート操作部。
放流設備は、クレスト部にラジアルゲートが3門。
堤体右岸側より突き出ている水圧鉄管。
かなり太かった。
一号発電機の取水口。堤体に付帯している。
その奥に、洪水吐のラジアルゲートが見える。
このゲートの巻き上げ機は、天端下に格納されているため、天端はすっきりしたデザインになっている。
二号発電機の取水口。2003年に増設された。
見学時、ものすごい勢いで水を飲み込んでいた。
右岸よりダム湖を眺める。
右の建物は、堤体に付帯している一号発電機の取水口および機械室。
天端を眺める。
アーチしたラインが美しい。
天端より直下を眺める。
右上の建物は大鳥発電所(一号)。
下流を眺める。
川はすぐに右に曲がっている。
減勢工は無い。
左岸真横より堤体を眺める。
何とも美しいライン。
下流より堤体と発電所(一号)を眺める。
隠し持っているホロージェットバルブ。
使われる事は滅多にないのだろう。
下流にある大鳥発電所(二号)からの放流口。(水が白く波立っている部分の右岸側)
凄い勢いで放流していた。
大鳥発電所(二号)の発電機。
スペック
ダム名 | 大鳥(おおとり)ダム |
ダム型式 | 重力式アーチ |
河川名/水系名 | 只見川/阿賀野川水系 |
所在地 | 福島県南会津郡只見町田子倉 |
位置 | 北緯37度12分55秒 東経139度12分49秒 |
着工年/完成年 | 1961年/1963年 |
用途 | 発電 |
堤高 | 83.0m |
堤頂長 | 187.9m |
堤体積 | 160,000立方m |
流域面積 | 656.9平方km |
湛水面積 | 89ha |
総貯水容量 | 15,800,000立方m |
有効貯水容量 | 5,000,000立方m |
ダム湖名 | |
管理 | 電源開発(株) |
本体施工者 | 前田建設工業 |
水位
設計洪水位 | |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | – |
平常時最高水位(常時満水位) | |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | – |
最低水位 |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
洪水吐 | ラジアルゲート | 3門 | |
洪水吐 | ホロージェットバルブ | 1条 | |
発電所使用水量 | 大鳥発電所1号(電源開発) | 220.0m3/s | |
発電所使用水量 | 大鳥発電所2号(電源開発) | 207.0m3/s |
アクセス
新潟県の奥只見ダムより、電源開発(株)所有の管理用道路を30分ほど北上すると大鳥ダムが見えてくる。
この道路は一般開放されていないので、見学会などの機会を利用するのが良いだろう。
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