千葉県が所有するかんがい用水専用のアースダム。
傾斜遮水ゾーン型アースフィルダムという型式で、ちょっとばかり変わった型式のダムだ。
それだけではない、かんがい用水専用と言っても、その目的も多少変わっている。
この地区は天然ガスが噴出し、多量の塩分および天然ガスが含まれた、農業には都合が悪い水が流れ出ている。
これを監視する、いわゆる「鉱毒対策ダム」としての機能を果たしているのである。
下流の塩分濃度を監視し、濃度が高くなるとこのダムの水を放流するという運用をしているとの事である。
最近完成されたダムということもあり、洪水吐や堤体など、近代的な造りになっている。
千葉県に多数あるアースダムと異なり、このダムはハイテクアースダムと言えよう。
下流より堤体を見上げる。
芝生が植えられていて美しい。
洪水吐も立派だ。
洪水吐からの導流部のアップ。
この規模のダムにふさわしいと思われる導流部。
導流部のさらに下流。
急角度で左に折れ曲がっている。
天端を眺める。
自動車での通行可能。
天端より下流を眺める。
堤体右側はなだらかなラインだが、左側はストンと谷のように落ち込んでいる事が特徴。
天端よりダム湖を眺める。
この水は、塩分中和のために使われるのだ。
管理所と、インクラインと、取水塔。
意外と全てが小ぶりだった。
自由越流式の洪水吐を眺める。
よく見るタイプの直線型自由越流式。
ほぼ満水だった。
堤体と洪水吐の位置関係はこんな感じ。
洪水吐からの導流部。
スペック
ダム名 | 平沢(ひらさわ)ダム |
ダム型式 | アース |
河川名/水系名 | 平沢川/夷隅川水系 |
所在地 | 千葉県夷隅郡大多喜町平沢地先 |
位置 | 北緯35度13分10秒 東経140度13分56秒 |
着工年/完成年 | 1986年/1998年 |
用途 | かんがい用水 |
堤高 | 25.6m |
堤頂長 | 159.0m |
堤体積 | 310,000立方m |
流域面積 | 2.4平方km |
湛水面積 | 14ha |
総貯水容量 | 1,160,000立方m |
有効貯水容量 | 1,088,000立方m |
ダム湖名 | |
管理 | 千葉県 |
本体施工者 | 間組 |
水位
設計洪水位 | EL 117.3m |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | – |
平常時最高水位(常時満水位) | EL 115.9m |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | – |
最低水位 | EL 102.0m |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
洪水吐 | 自由越流式 | W7.350m×H7.313m×2門 | |
緊急放流用 | ジェットフローゲート | Φ0.45m×1条 | 2.212m3/s |
取水設備 | 多孔式斜樋 | 1基 | 0.395m3/s |
アクセス
館山自動車道市原ICより、国道297号線を勝浦方面に直進。
途中、トラップがあるが、ひたすら国道297号線をひた走る。
34.15km走ると、国道465号線との交差点「八声」が現れる。
ここを右折、国道465号線に入る。
4.75km走ると、総元(ふさもと)という駅を通り越し、左手に曲がる大きな道があらわれる。
ここを左折。
ちなみに、この交差点には平沢ダムの看板があるので、これを目印にすればよいだろう。
1.2kmほど走ると、T字路にぶつかる。
ここを左折。
2kmほど走ると、平沢ダムの看板が現れる。
ここをこの看板通りに左折。
左折するとすぐに、右に曲がる道が現れるので、ここを右折。
ちなみに、ここには平沢ダムの看板はないので注意が必要だ。
700mほど走ると目の前に堤体が現れる。
駐車場は無いが、道が広くなっているので、適当な所に車を停めて見学するとよいだろう。
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