北海道開発局所有の多目的ダム。
治水の他、上水道、かんがい用水の確保や、発電をおこなっている。
このダムの型式は、重力式コンクリートとロックフィルが繋がったコンバインダム。
その境目はクッキリしており分かりやすいため、コンバインダムの代表格といえるだろう。
堤高86mに対して堤頂長885mと非常に横長で、北海道のダムの特徴を十分に網羅している。
これだけ長い堤体なのに、自動車での通行は禁止されている。
普通に歩くと、往復30分はかかる道のりである。
天端は片側1車線の道路を造ることができる広さなので、車道にしても安全上問題ないと思われるが、管理管轄の問題でそうなっていないとのこと。
非常に残念である。
重力式コンクリート部には放流設備があり、非常用洪水吐として自由越流式のものが12門、その中央に、常用洪水吐として、こちらも自由越流式のものが1門装備されれている。
そこから突き出すように、選択取水設備が配置されている様子は、他のダムではあまり見かけない光景だろう。
ロックフィル部は右岸にあり、かなり白色な石を使用している。
左岸の重力式コンクリート部とは相反する光景だ。
こちらのロックフィル部には主だった設備はなく、平穏な堤体が続くのみである。
非常に面白いダムなので、旭岳ロープウェイなどにお立ち寄りの際は、ぜひとも見学して頂きたいダムである。
下流より堤体を眺める。
手前がロックフィル部、奥が重力式コンクリート部。
右岸上流側より堤体を眺める。
比較的白い石を利用したロックフィルが美しい。
右岸下流側より堤体を眺める。
綺麗だー!
左岸の重力式コンクリート部。
放流設備はこちら側に集約されている。
放流設備のアップ。
非常用洪水吐は自由越流式で12門。
常用洪水吐も自由越流式で1門。
その他、コンジット部に2門装備している。
減勢工と選択取水設備からの放流部。
ロックフィル部と重力式コンクリート部の接合部。
たまらなくセクシー。
洪水吐の位置に設置されている選択取水設備。
通常はこの位置には無いものだ。
左岸より堤体を眺める。
コンクリートとフィルのせめぎ合い。
何とも異様な光景。
上流より放流部を眺める。
こうやって切り取ってみると、単なる重力式コンクリートダム。
天端を眺める。
自動車通行不可。
これだけ長い堤体なのに、この処置はいただけない。
左岸にあるインクライン。
ちなみに、管理所は右岸にある。
管理所からインクラインにたどり着くまで15分かかる。
天端より直下を眺める。
いたって普通な減勢工。
天端より下流を眺める。
重力式コンクリート部と、ロックフィル部の接合点。
左側が重力式、右側がロックフィル式。
その部分にあるプレート。
左岸より堤体を眺める。
何とも異様だ。
このアングル、大好きです。
通常のダムではありえない。
コンバインダムならではの光景。
旭岳ローブウェイよりダム湖を眺める。
スペック
ダム名 | 忠別(ちゅうべつ)ダム |
ダム型式 | 重力式コンクリート・フィル複合 |
河川名/水系名 | 忠別川/石狩川水系 |
所在地 | 北海道上川郡東神楽町志比内 |
位置 | 北緯43度37分39秒 東経142度37分49秒 |
着工年/完成年 | 1977年/2006年 |
用途 | 洪水調節、農地防災/不特定用水、河川維持用水/かんがい用水/上水道用水/発電 |
堤高 | 86.0m |
堤頂長 | 885.0m |
堤体積 | 9,444,000立方m |
流域面積 | 238.9平方km |
湛水面積 | 372ha |
総貯水容量 | 93,000,000立方m |
有効貯水容量 | 79,000,000立方m |
ダム湖名 | 忠別湖(ちゅうべつこ) |
管理 | 北海道開発局 |
本体施工者 | 大成・岩田地崎・竹中土木 |
水位
設計洪水位 | |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | EL 419.72m |
平常時最高水位(常時満水位) | EL 413.92m |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | – |
最低水位 | EL 387.42m |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
非常用洪水吐 | 自由越流式 | 12門 | |
常用洪水吐 | 自由越流式 | 1門 |
アクセス
旭川辺りより、旭岳・天人峡方面を目指す。
その途中に忠別ダムがある。
右岸や左岸に駐車場があるので、こちらに車を停めて見学するとよいだろう。
なお、このダムは、ダムに興味がない人を連れれゆくことを強くおすすめする。
なぜなら、天端は自動車の通行禁止で、堤頂長885mもある。
往復するには非常に時間がかかるので、先に車を対岸に廻しておいてもらうようにすると効率的だからだ。
(漠然とした書き方で申し訳ありません。出発地が多難で、目指す進路は一つしかないため、この書き方になりました。)
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