内閣府沖縄総合事務局が管理する多目的ダム。
堤高45mの重力式コンクリートダムで、クレスト部に5門の自由越流式洪水吐を備えている。
洪水吐の1つは高さが低くなっており、これを常用、その他を非常用として運用していると思われる。
堤体のデザインが特徴的で、天端には曲線的なラインを描くバルコニーが5ヶ所ある。
堤体の表面は石張りになっており、石の荒々しさと、バルコニーの曲線が良い具合に美を演出している。
石張りのデザインは、公式サイトによると、中城城をイメージしたとのこと。
また、このダムは生態系の保全に本格的に取り組んだダムとして有名であり、右岸には魚道が設置されている。
45mの高さを魚たちが駆け上がってくるらしい。
直下の河川はもう汽水域で、マングローブの森が生い茂っている。
下流右岸側には、マングローブや河川の様子を観察できる遊歩道が設置されており、散策を楽しむことができる。
デザイン的にも環境的にも非常に優れたダムなので、沖縄訪問の際は、ぜひ訪れて頂きたいダムである。
下流正面より堤体を眺める。
洪水吐は右岸寄りに設置されている。
左岸より堤体を眺める。
所々に曲線で構成されたバルコニーが設置されている。
石張りデザインを施した堤体。
中城城をイメージしているのだという。
フーチングを眺める。
お城のように凸凹になった欄干が良い味を出している。
天端を眺める。
右岸に設置されている魚道の出口。
45mの高さを魚たちが駆け上るという。
右岸ダム湖側より堤体を眺める。
一番奥にあるゲートの高さは他よりも低くなっている。
天端よりダム湖を眺める。
天端より直下を眺める。
バルブ室の屋根の色が沖縄を感じさせる。
天端よりさらに下流を眺める。
両岸にマングローブの森が広がる。
ダム直下の河川の様子。
もうここは汽水域。
両脇の木々はマングローブ。
正面の橋は沖縄自動車道。
スペック
ダム名 | 漢那(かんな)ダム |
ダム型式 | 重力式コンクリート |
河川名/水系名 | 漢那福地川/漢那福地川水系 |
所在地 | 沖縄県国頭郡宜野座村字漢那地先 |
位置 | 北緯26度28分55秒 東経127度56分58秒 |
着工年/完成年 | 1978年/1993年 |
用途 | 洪水調節、農地防災/不特定用水、河川維持用水/かんがい用水/上水道用水 |
堤高 | 45.0m |
堤頂長 | 185.0m |
堤体積 | 72,000立方m |
流域面積 | 7.6平方km |
湛水面積 | 55ha |
総貯水容量 | 8,200,000立方m |
有効貯水容量 | 7,800,000立方m |
ダム湖名 | かんな湖(かんなこ) |
管理 | 内閣府沖縄総合事務局 |
本体施工者 | 大林組・鴻池組・仲程土建 |
水位
設計洪水位 | EL 31.5m |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | EL 30.0m |
平常時最高水位(常時満水位) | EL 27.8m |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | – |
最低水位 | EL 7.1m |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
常用洪水吐 | 自由越流式 | 4門 | |
常用洪水吐 | 自由越流式 | 1門 | |
非常用ゲート | ジェットフローゲート | Φ1.2m×1条 | |
放流用ゲート | ジェットフローゲート | Φ0.9m×1条 | |
河川維持用ゲート | ジェットフローゲート | Φ0.15m×1条 | |
不特定かんがいバルブ | スルースバルブ | Φ0.25m×1条 | |
不特定上水バルブ | スルースバルブ | Φ0.20m×1条 | |
特定かんがいバルブ | ロートバルブ | Φ0.50m×1条 | |
都市用水バルブ | ロートバルブ | Φ0.50m×1条 | |
選択取水設備 | 直線多段式ローラーゲート | 2.0m×21.7m(4段) |
アクセス
沖縄自動車道宜野座ICより、国道329号線を那覇方面へ南下。
2.23km走ると、漢那ダムの標識が現れるので、その通りに右折。
沖縄自動車道と併走し、しばらくするとまた看板が現れる。
その通りに左折。
するとすぐに漢那ダムの駐車場に到着する。
ダム下流部に行くには、フーチングを降りるか、車で国道手前まで戻り、川沿いの道を再び登ればダム下流部に到着する。
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