大井川最上流部に位置する、東京電力(株)所有の発電専用ダム。
この水系は、基本的には中部電力(株)の水系だが、なぜか東京電力(株)のダムがひとつだけある。
それがこの田代ダムである。
堤体および、ダム湖はとても複雑な造りになっている。
大井川が蛇行し、三日月状になっている部分の下流部に堤体を造り、ダム湖に仕立ててある。
そして、その三日月状のダム湖をショートカットするように流路を造り、そこにダム湖への取水設備、および本流への洪水吐を設置してある。
三日月状のダム湖は発電用水の沈砂池としての役割を果たしている。
このダム湖から最大4.99m3/sの水が取水され、一山脈東にある田代川第2発電所で、富士川水系内河内川の水0.21m3/s、富士川水系保利沢川の水0.14m3/sと共に、最大22,700kWの電気を発電する。
大井川水系の水を富士川に放流するとのことで、問題になっているようであるが、影響を及ぼすほど莫大な取水量だとは思えない。
ダム湖は、「ひっそりとたたずむ」という言葉が相応しい、とても神秘的な感があり、 エメラルドグリーンの湖面に南アルプスの山々が綺麗に写し出されていた。
下流より堤体を眺める。
右下の穴は、排砂用のものだと思われる。
左岸より堤体を眺める。
ちなみに、天端は立入禁止だった。
堤体の左岸側には、流木運搬用の設備(白い滑り台の様なもの)と、洪水吐(その右隣にあるコンクリート)があった。
洪水吐放流部のアップ。
多分これは使われてはいないのだろう。
堤体からの導流部。
導流部の終点にある滝(?)。
手前右側に上の写真の導流部が続き、さらにその奥に堤体がある。
この滝の上には取水用の堤体がある。
ちなみに、この滝は山を削って造ったとのこと。
滝の上の取水用の堤体。
クレスト部は自由越流式。小さなローラーゲート1門を備える。
ローラーゲートのアップ。
その奥右側に、ダム湖へと導く取水口がある。
取水用堤体の上にかかる吊り橋より下流を眺める。
すぐそこが滝だ。
滝の先、左側に堤体からの導流部がある。
中央になんとなく写っている建物は、(株)東海フォレストの二軒小屋ロッヂ。
同じく、吊り橋より上流を眺める。
ダム湖は無い。
右岸より取水用堤体を眺める。
中央やや左に、ダム湖へと導く取水用のスクリーンが見える。
上流より取水用堤体を眺める。
あの先に滝(?)がある。
手前が本流。
分かりづらいが、奥にダム湖へと導く導流部が少しだけ見える。
ダム湖を眺める。
ひっそりと佇んでいた。
湖面の色が美しい。
ダム湖より堤体を眺める。
左側に発電用の取水口がある。
取水口のアップ。
ここで取水された水は、転付峠の下を通り、ひと山脈隣にある発電所へ導かれる。
インクライン、というか、普通の手こぎボート。
スペック
ダム名 | 田代調整池第二(たしろちょうせいちだいに)ダム |
ダム型式 | 重力式コンクリート |
河川名/水系名 | 大井川/大井川水系 |
所在地 | 静岡県静岡市葵区田代字小蛇眠 |
位置 | 北緯35度29分55秒 東経138度14分47秒 |
着工年/完成年 | 1924年/1928年 |
用途 | 発電 |
堤高 | 17.3m |
堤頂長 | 108.5m |
堤体積 | 11,000立方m |
流域面積 | 108.6平方km |
湛水面積 | 3ha |
総貯水容量 | 220,000立方m |
有効貯水容量 | 153,000立方m |
ダム湖名 | |
管理 | 東京電力(株) |
本体施工者 | 間組 |
水位
設計洪水位 | |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | – |
平常時最高水位(常時満水位) | |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | – |
最低水位 |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
洪水吐 | 自由越流式 | 1門 | |
発電所使用水量 | 田代川第二発電所 | 4.99m3/s |
アクセス
畑薙第一ダムより、県道南アルプス公園線をさらに上流に向かう。
すると、有人の車両通行止めゲートが現れる。
ここに車を停めて、あとはひたすら歩くのみ。
約27km歩くと、つきあたりに田代ダムが現れる。
落石が多いので、注意して歩いて欲しい。
また、別の手段としては、(株)東海フォレストの二軒小屋ロッヂに1泊2食付きで宿泊するという方法もある。
ここに宿泊すれば、田代ダムまで送迎してくれるのでおすすめだ。
このダムの手前に、赤石ダムがあるので、こちらのダムの見学も合わせておすすめしたい。
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