日本に一基しかない、ダブルアーチダム。
アーチ式コンクリートダムが、人工アバットをはさみ2基連なっている。
このように、2基以上のアーチ式コンクリートダムが連なっている構造を、マルチプルアーチ式ダムという。
国土交通省が建設したダムだが、宮城県が管理している多目的ダム。
主に仙台市の水瓶としての役割で、上水道用水の他、工業用水やかんがい用水なども供給している。
また、このダムの水は、東北電力(株)の大倉発電所に導かれ、最大6.5m3/sの水量で5,200kWの電気をおこしている。
ちなみに、この大倉発電所は、世界初の立軸斜流水車を採用した発電所とのこと。
とても珍しい構造のダムだが、その点のPRが少ないように感じた。
私が訪問した日は夏休み中だったため、多数の人が見学に来ていたが、この人たちは、日本で唯一のダブルアーチダムだということを知って見学しているのだろうか。
説明板や資料館などを充実させ、もっともっとPRしてもらうことを、ダムマニアとして強く希望する。
天端よりアーチの接続部分を眺める。
お尻のかたちの様に、くぼんでいるのがお分かりだろうか。
ダム湖右岸より堤体を眺める。
中央あたりにアーチの継ぎ目がある。
よく見ると、くぼんでいるのが分かる。
左岸のアーチ部分。
こちら側にクレストゲートを備えている。
よく見ると、ゲートが開いている。
天端中央部より、左岸側を眺める。
クレスト部にローラーゲートが4門。
左岸側天端より直下を眺める。
右岸側とは違い、意外に険しい渓谷だった。
ちなみに、右岸側の直下は公園になっている。
天端左岸側より中央部を眺める。
アバットという基礎が見える。
この部分がアーチの継ぎ目になっている。
アバットの上は駐車場兼待避所になっている。
右岸に設置されている選択取水設備。
天端右岸側より直下を眺める。
左岸側とは異なり、平穏な大地が広がっている。
直下は公園になっている。
天端のアバット部。
車両の通行は可能。こう見えて一方通行ではない。
このアバット部ですれ違いを行う。
右岸下流側より堤体を眺める。
ちょっと見えづらいが、アバット部の奥にもアーチの堤体がある。
とても珍しい光景だ。
下流より堤体を眺める。
木々が邪魔で、ダブルアーチの雰囲気を感じる写真を撮ることができなかった。
左岸のクレストゲートを直下より撮影。
こんなに近づけるなんて、とても珍しいダムかも。
ダム湖を眺める。
堤体付近には観光客が沢山いたが、ダム湖は非常に静かな雰囲気だった。
天端アバット部からのパノラマ写真。
スペック
ダム名 | 大倉(おおくら)ダム |
ダム型式 | マルティプルアーチ式コンクリート |
河川名/水系名 | 大倉川/名取川水系 |
所在地 | 宮城県仙台市青葉区大倉字高棚 |
位置 | 北緯38度19分18秒 東経140度42分21秒 |
着工年/完成年 | 1956年/1961年 |
用途 | 洪水調節、農地防災/不特定用水、河川維持用水/かんがい用水/上水道用水/工業用水/発電 |
堤高 | 82.0m |
堤頂長 | 323.0m |
堤体積 | 226,000立方m |
流域面積 | 88.5平方km |
湛水面積 | 160ha |
総貯水容量 | 28,000,000立方m |
有効貯水容量 | 25,000,000立方m |
ダム湖名 | 大倉湖(おおくらこ) |
管理 | 宮城県 |
本体施工者 | 前田建設工業 |
水位
設計洪水位 | |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | – |
平常時最高水位(常時満水位) | EL 270.6m |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | EL 263.35m(7月1日~9月30日) |
予備放流水位 | EL 263.35m |
最低水位 | EL 240.65m |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
非常用洪水吐 | ローラーゲート | 8.86m×7.55m×4門 | 1,200m3/s |
常用洪水吐 | スルースバルブ | Φ0.9m×1条 | 13m3/s |
発電所使用水量 | 大倉発電所(東北電力) | 6.5m3/s |
アクセス
東北自動車道仙台宮城ICから、国道48号線を寒河江方面へ走る。
12.46km走ると、熊ヶ根という交差点にさしかかる。
ここを右折、大倉ダム方面へ向かう。
あとはひたすら直進するのみ。
途中、堤体直下に行く道と、天端に繋がる道が分岐するが、ここは気分に合わせて選択して欲しい。
また、この手前に、青下第1ダム、青下第2ダム、青下第3ダムがあるので、こちらも見学もあわせておすすめする。
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