中空重力式コンクリートというめずらしい型式のダム。
人件費よりもコンクリート代の方が高かった時代に造られたダムだ。
木曽川水系揖斐川にあるダムで、上流には日本一の貯水容量を誇る徳山ダム、下流には発電専用の久瀬ダムがある。
徳山ダムが無かった時代、この河川の洪水調節は横山ダムのみでおこなっていたが、徳山ダム完成以降は両ダムが連携して洪水調節をする。
これで少しは横山ダムの仕事も楽になるだろうか。
放流設備は、非常用洪水吐としてラジアルゲートが2門、常用洪水吐としてラジアルゲートを3門を備えている。
非常用洪水吐は2008年4月24日に、徳山ダムの試験放流にあわせ何十年ぶりに使用されたとの事。
またこのダムは、見学者にもやさしいダムで、洪水調節中の時以外は内部を見学することができる。
先にも述べたとおり、日本でも珍しい中空重力式コンクリートという型式なので、一見の価値はある。
徳山ダムという巨大ダムの直下にあるダムなのであまり目立たないが、徳山ダムと同等、いや、それ以上の魅力を持ったダムなのである。
下流より堤体を眺める。
非常用洪水吐より放流していた。
非常用放流吐を使用するのは数十年ぶりとのこと。
非常洪水吐のアップ。
常用洪水吐のアップ。
この中にラジアルゲートが隠れている。
写真中央は、旧横山ダム管理所。
堤体に張り付くように建っている。
その右ある緑色の建物が新横山ダム工事事務所(管理所)。
天端を眺める。
天端は国道303号線。
ダンプがひっきりなしに通行していた。
※現在、国道は別の場所に移転しています。
天端直下の発電所を眺める。
かなり太い導水管が2本。
それとは対照的に、大丈夫かと思うほど薄い導流壁。
天端より直下を眺める。
天端より下流を眺める。
この先に久瀬ダムがある。
インクラインと思われるもの。
その左にある紅白の板は、常時満水位の位置。
天端よりダム湖を眺める。
奥に見える建設中の物体は、国道303号線の橋との事。
常用洪水吐の予備ゲート。
発電用取水口のスクリーン。
最近取り替えたらしく、黒々と光っていた。
左岸より堤体を眺める。
天端まで堤体が傾斜しているのは中空重力式ダムの特徴。
スペック
ダム名 | 横山(よこやま)ダム |
ダム型式 | 中空重力式コンクリート |
河川名/水系名 | 揖斐川/木曾川水系 |
所在地 | 岐阜県揖斐郡揖斐川町東横山 |
位置 | 北緯35度35分35秒 東経136度27分19秒 |
着工年/完成年 | 1957年/1964年 |
用途 | 洪水調節、農地防災/発電 |
堤高 | 80.8m |
堤頂長 | 220.0m |
堤体積 | 320,000立方m |
流域面積 | 471平方km |
湛水面積 | 170ha |
総貯水容量 | 40,000,000立方m |
有効貯水容量 | 30,000,000立方m |
ダム湖名 | 奥いび湖(おくいびこ) |
管理 | 国土交通省 |
本体施工者 | 間組 |
水位
設計洪水位 | – |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | – |
平常時最高水位(常時満水位) | EL 207.5m |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | EL 201.5m(6月16日~7月30日) |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | EL 195.2m(8月1日~10月15日) |
最低水位 | EL 180.0m |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
非常用洪水吐 | ラジアルゲート | W8.6m×H12.6m×2門 | 1,840m3/s |
常用洪水吐 | ラジアルゲート | W5.0m×H6.4m×3門 | 2,000m3/s |
利水用放流設備 | スライドゲート | 1.2m×1門 | 13.5m3/s |
発電所使用水量 | 横山発電所(中部電力) | 129.0m3/s |
アクセス
名神高速大垣ICより、国道258号線を北上、大垣市街方面へ向かう。
6.92km走ると、国道21号線との交差点にさしかかるので、ここを左折、国道21号線で関ヶ原方面へ向かう。
1.59km走ると、今度は国道417号線との交差点にさしかかる。
この交差点を右折、国道417号線に入る。
あとはそのまま国道沿いに走るだけだ。
途中、いくつかトラップがあるので、間違わずに国道を走って欲しい。
揖斐川と共に併走し、久瀬ダムを眺め、しばらく走ると左手に横山ダムが見えてくる。
ダムの手前やダム工事事務所(管理所)に駐車場があるので、こちらに車をとめて見学するとよいだろう。
なお、この奥に日本最大のダム湖を持つ徳山ダムがあるので、こちらの見学も合わせておすすめする。
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