渡良瀬川にある、水資源機構が管理する、重力式コンクリート型式の多目的ダム。
国道122号線を走っていると現れる巨大なダムなので、ご存じのかたも多いであろう。
外見は、堤体上部のコンクリートが白色であるのが特徴的。
同じ水資源機構が管理している、下久保ダムも同様の特徴を持つ事は偶然の一致か。
放流設備は、非常用洪水吐として、クレスト部にラジアルゲートが4門。
常用洪水吐として、オリフィス部にラジアルゲートを2門備えている。
表面取水設備も備え、ここから取水された水は、群馬県所有の東発電所および、東第二発電所、そして、利水放流設備のホロージェットバルブに送られる。
東第二発電所ができる前は、東発電所を通った水は、下流にある小平発電所に、水圧鉄管によって河川を経由せずに送水されていた。
そのため、草木ダムから下流の数kmの区間は、水無川状態だったとのこと。
東第二発電所ができてからは、草木ダムの直下に、東第二発電所経由の水を放流するため、この状況が改善された。
このダムの上流には、公害で有名だった足尾銅山があった。
その公害の傷は今でも完治せず、上流の山々はまだ草木が生い茂っていない。
このため、雨が降るとすぐに河川が増水してしまうとのこと。
降雨開始と河川増水の間隔が短いため、他のダムよりも管理が難しいらしい。
ダムサイトには、多数駐車場が用意されていて、色々なアングルからダムを見ることができる。
ぜひとも訪れてもらいたいダムの一つである。
重力式コンクリートの草木ダム。
堤高140m、堤頂長405m。横長の印象を受ける。
天端部分の襟が白色なところが特徴的。
クレストゲートはラジアルゲートが4門。
常用洪水吐として、オリフィスゲートが2門。
また、写真には写っていないが、利水放流設備としてホロージェットバルブを1条備えている。
クレストゲート支柱の上より直下を眺める。
そう高さは感じなかった。
クレストゲートを下流側より眺める。
とても大きく感じた。
監査廊の中にある画廊。
小学生が描いた草木ダムの絵が展示してある。
監査廊の高さは、他のダムに比べ低く感じた。
直下より堤体を見上げる。
右に見える鉄管は、表面取水設備から取水された水を、発電所および、ホロージェットバルブに導くもの。
また、常用洪水吐上のスポイラーは、凛々しさを感じさせる三角形だった。
クレストゲートからの放流の様子。
3.91m3/sの放流量だが、素晴らしいものがあった。
減勢工および下流の様子。
減勢工のすぐ下流には葦が生えていた。
左岸に装備されているホロージェットバルブ。
三菱のマークが光り輝いていた。
発電所の様子。
左下の建物が東発電所。発電時は、中央に写っている水路に水が流れる。
また、右の建物が東第二発電所。発電を終えた水は、減勢工の直下に放流される。
上流より堤体を眺める。
左側に、表面取水設備が見える。
現在の水位は、常時満水位より1mほど低い。
ダム湖に浮かぶ噴水設備。
50mほど吹き上がるという。
ちなみにこの噴水は、観光用ではなく、水質を保持するためのもの。
ダム湖の様子。
夏季制限水位と常時満水位は13mほど差があるため、水没している植物が多数見受けられた。
スペック
ダム名 | 草木(くさき)ダム |
ダム型式 | 重力式コンクリート |
河川名/水系名 | 渡良瀬川/利根川水系 |
所在地 | 群馬県みどり市東町座間 |
位置 | 北緯36度32分32秒 東経139度22分20秒 |
着工年/完成年 | 1965年/1976年 |
用途 | 洪水調節、農地防災/不特定用水、河川維持用水/かんがい用水/上水道用水/工業用水/発電 |
堤高 | 140.0m |
堤頂長 | 405.0m |
堤体積 | 1,321,000立方m |
流域面積 | 254平方km |
湛水面積 | 170ha |
総貯水容量 | 60,500,000立方m |
有効貯水容量 | 50,500,000立方m |
ダム湖名 | 草木湖(くさきこ) |
管理 | (独)水資源機構 |
本体施工者 | 鹿島建設・西松建設 |
水位
設計洪水位 | EL 455.1m |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | EL 454.0m |
平常時最高水位(常時満水位) | EL 454.0m |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | EL 440.6m(7月1日~9月30日) |
予備放流水位 | EL 440.6m |
最低水位 | EL 403.7m |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
非常用洪水吐 | 堤頂越流ラジアルゲート | W8.2m×H14.5m×4門 | 3,650m3/s |
常用洪水吐 | 圧着式高圧ラジアルゲート | W3.2m×H3.7m×2門 | 670m3/s |
利水放流設備 | ホロージェットバルブ | Φ1.8m×1条 | 65m3/s |
表面取水設備 | 半円筒型多段ローラーゲート | ||
発電所使用水量 | 東発電所(群馬県) | 24.00m3/s | |
発電所使用水量 | 東第二発電所(群馬県) | 0.329m3/s |
アクセス
アクセス方法は大きく分けて二通り。
一つ目は関越自動車道前橋ICまたは渋川伊香保ICからのアクセスとなる。
そしてもうひとつは、東北自動車道佐野藤岡ICからのアクセス。
私は東京の東側に在住していて関越自動車道へのアクセスが悪いため、個人的にこちらのルートをお勧めする。
佐野藤岡ICより国道50号線を28kmほどひた走る。
この国道は非常に整備されていて、まるで高速道路同様な速度が出せる。
ただし、オービス・ネズミ捕り注意である。
28kmほど走ると、国道50号線と、国道122号線が分岐する。
ここは、国道122号線を選択、アンダーパスをくぐるかたちとなる。
4kmほど桐生市街地を走ると、国道122号線は右折する。
ここはその通りに右折。
今度は、500mほどで、国道122号線は左折する。
ここも国道122号線通りに左折。
4kmほど走ると、国道122号線バイパスという標識が現れる。
ここはバイパスを選択、右折するかたちになる。
あとはひたすら国道122号線をなぞるように走れば良い。
渡良瀬渓谷鉄道を右手に眺めながら草木ダムを目指す。
峠を上りきったあたりに、草木ダムの駐車場が右手に見える。
その駐車場に車を止めてダムを見学するとよいだろう。
提体上も車が走れる道路になっている。
ここを通り、堤体下まで行ってみるとよい。
真近に重力式ダムの堤体が見え、ダムの圧巻を味わうことができる。
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