中国電力(株)所有の発電専用ダム。
堤高19.2mの重力式コンクリートダムで、1938年に完成した古いダム。
かれこれもう80年近くも経過しているとは驚きだ。
天端越流型のダムで、洪水時には堤体の上から全面的に放流をおこなう。
取材時はタイミングが良いというか悪いというか、大雨であったため、美しい放流シーンを眺めることができた。
堤体の右岸側に河川維持用水の補給用に用いるコンジットゲートがあるらしいが、当日は残念ながらクレストからの水流のカーテンにより、その姿は隠されていた。
このダムで取水された水は、約3.5kmの導水管を通り土居発電所へ送水される。
発電所では最大7.6m3/sの水量を用いて、8,200kWの電力を生み出している。
近年、従来の水車2基を、効率が良い1基に入れ替え、200kWの出力増加を図ったとのこと。
また、この貯水池には清水バイパスがあることが特徴的だ。
ダム湖の上流側から取水し、パイパストンネルにてダム直下へ放流するバイパスを持つ。
これにより、下流にも常に新しい水が供給されるという特徴を持つ。
ちょっと訪問しずらい場所にあるダムだが、古風で非常に美しいダムなので、一度は訪れたほうが良いだろう。
下流正面より堤体を眺める。
全面越流中。
下流左岸側より堤体を眺める。
水のカーテンが綺麗だ。
右岸側にはコンジットゲートある模様。
真横より堤体を眺める。
美しすぎる!
下流を眺める。
手前に清水バイパスの吐口が見える。
こうして見ると、ダム湖と下流がシームレスに見える。
土居発電所の取水口。
ダム湖上流にある打梨発電所。
このダムの上流にある立岩ダムから取水された水が放流されている。
スペック
ダム名 | 鱒溜(ますだまり)ダム |
ダム型式 | 重力式コンクリート |
河川名/水系名 | 太田川/太田川水系 |
所在地 | 広島県山県郡安芸太田町吉和郷 |
位置 | 北緯34度34分02秒 東経132度11分39秒 |
着工年/完成年 | /1938年 |
用途 | 発電 |
堤高 | 19.2m |
堤頂長 | 98.0m |
堤体積 | 17,000立方m |
流域面積 | 146.8平方km |
湛水面積 | 9ha |
総貯水容量 | 455,000立方m |
有効貯水容量 | 215,000立方m |
ダム湖名 | |
管理 | 中国電力(株) |
本体施工者 | 森本組 |
水位
設計洪水位 | |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | – |
平常時最高水位(常時満水位) | |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | – |
最低水位 |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
洪水吐 | 自由越流式 | 1門 | |
発電所使用水量 | 土居発電所 | 7.6m3/s |
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