国土交通省管轄の多目的ダム。
とても巨大なロックフィルダムで、2006年現在、国内第3位の堤体積を誇る。
これだけの規模ということで、放流設備も充実している。
堤体右岸に設置された放流設備は、非常用洪水吐のフラップゲートが4門、常用洪水吐のラジアルゲートが2門、同じく常用洪水吐として、オリフィス部にラジアルゲートが2門装備されている。
また、少し離れた場所には、これまた巨大な選択取水設備が配置されている。
ダム湖には巨大な噴水が設置されており、112mの高さまであがるという。
これは、2006年現在、日本一、東洋一、世界第4位というものらしい。
このダムの堤高は112m、噴水の高さも112m。ダム湖脇を通っている国道番号も112。
水没移転戸数も112戸との事で、このダムは112という数字に縁があるらしい。
これだけ巨大なダムなので、ぜひとも見学をおすすめしたい所だが、このダムにおいては、素直におすすめできない。
いつ始まり、いつ終わるか分からないテロ対策のため、天端側まで車で行くことができず、管理所脇の駐車場から延々と1.2kmも歩かなければ、ゲート群が配置されている場所までたどり着くことができない。
また、所々に設置されているマスコットの置物も、ほとんど壊れていて、とても見苦しい。
堤体まで続く2車線の道路には草木が茂り、整備されている様子がうかがえない。
逆に、道の途中にある職員用のテニスコートは綺麗だった。
ダム逆風の中、あまり見て欲しくないダムのひとつである。
下流より堤体を眺める。
この左側に洪水吐からの導流部があるのだが、残念ながら写真を撮り忘れてしまった。
ダム湖側より堤体を眺める。
堤体の右側にゲート群がある。
ゲート群のアップ。
銀色のラジアルゲートがとても眩しかった。
真横より堤体を眺める。
草木が生い茂っている堤体。
国土交通省管轄にしては珍しい。
ちなみに、中央の木々の奥に洪水吐からの導流部がある。
天端を眺める。
自動車2車線分の立派な天端だが、残念なことに車両通行止。
右岸に設置されている選択取水設備。
とても巨大だった。
右岸真横より堤体を眺める。
青いラインは何の水位を表しているのだろうか。
天端よりダム湖を眺める。
タイミング良く、ちょうど噴水があがりだした。
噴水のアップ。
112mの高さまで吹き上がるという。
ゲート群を眺める。
両脇に非常用洪水吐のフラップゲートが2門ずつ、
その内側に、常用洪水吐のラジアルゲートが1門ずつ。
中央の溝は、オリフィス部からの導流壁。
導流部を見下ろす。
ダム湖側よりゲート群を眺める。
こちら側から見ると、ゲートの色は銀色だ。
中央の赤いゲートは、オリフィスの副ゲート。
天端の右端より、インクラインと管理所を眺める。
あそこからここに来るには、歩くしか方法はない。
スペック
ダム名 | 寒河江(さがえ)ダム |
ダム型式 | ロックフィル |
河川名/水系名 | 寒河江川/最上川水系 |
所在地 | 山形県西村山郡西川町大字砂子関 |
位置 | 北緯38度27分19秒 東経140度02分18秒 |
着工年/完成年 | 1972年/1990年 |
用途 | 洪水調節、農地防災/不特定用水、河川維持用水/かんがい用水/上水道用水/発電 |
堤高 | 112.0m |
堤頂長 | 510.0m |
堤体積 | 10,350,000立方m |
流域面積 | 231.0平方km |
湛水面積 | 340ha |
総貯水容量 | 109,000,000立方m |
有効貯水容量 | 98,000,000立方m |
ダム湖名 | 月山湖(がっさんこ) |
管理 | 国土交通省 |
本体施工者 | 飛島建設・三井建設 |
水位
設計洪水位 | EL 401.5m |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | EL 400.0m |
平常時最高水位(常時満水位) | EL 398.5m |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | EL 387.0m(6月16日~10月10日) |
最低水位 | EL 341.5m |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
非常用洪水吐 | フラップゲート | W14.0m×H3.0m×4門 | 959m3/s |
常用洪水吐 | ラジアルゲート | W8.0m×H9.9m×2門 | 1,045m3/s |
常用洪水吐 | ラジアルゲート | W4.0m×H4.0m×2門 | 589m3/s |
常用洪水吐 | ジェットフローゲート | 1.6m×2門 | 95m3/s |
常用洪水吐 | ジェットフローゲート | 0.5m×1門 | 4.85m3/s |
発電所使用水量 | 本道寺発電所(東北電力) | 62.5m3/s | |
発電所使用水量 | 新水ヶ瀞発電所(東北電力) | 30.0m3/s |
アクセス
山形自動車道月山ICから、国道112号線を寒河江市街へ走る。
3.90kmほど走ると、右手に道の駅「にしかわ」と寒河江ダム管理所が見えてくる。
道の駅「にしかわ」に入るように右折。
右折するとすぐに、右側が道の駅の駐車場、左側が寒河江ダム管理所の駐車場になっている。
運が良ければ、そのまま直進し、天端側まで行くことができるが、多分通行止めだろう。
左にある寒河江ダム管理所駐車場に車を停め、ここから徒歩。
もちろん、この場所からダムを眺めることはできるが、あまりにも遠すぎる。
駐車場からダム湖沿いに1.2km歩いて頂きたい。
職員のレクリエーションのために作られた、とても良く整備されているテニスコートの脇を抜け、ダム湖畔の道を歩く。
いくつも立ち並ぶ、「かんぺいくん」という名の、壊れたマスコットアイテムが、心の疲れを癒してくれるだろう。
この「かんぺいくん」にはスイッチがあり、押すと解説をしてくれるらしいが、壊れている。
また、アスファルトの道の真ん中に、大きく育っている雑草たちは、足の疲れを癒してくれる。
600mほど歩くと左岸側天端に到着する。
左手には、国土交通省管轄とは思えないほど大きく育った、草木がロックフィルを支えてくれている。
さぁ、ここまで来れば、あともう一息だ。
ロックフィルの堤体に生えた草木を眺めながら、600mを歩ききろう。
終点では、贅を尽くしたゲート群がお出迎えしてくれる。
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