最新技術を惜しげもなく取り入れたダム。
ポイントはエアーだ。
内閣府沖縄総合事務局が管理する堤高66.5mのロックフィルダムで、洪水調節や上水道用水確保などの多目的ダムである。
選択取水設備には、エアーロック式を取り入れ、ゲートを使用しない構造となっている。
魚道も特徴的で、エアーリフト魚道を採用している。
エアーリフト魚道とは、圧縮空気により、水が入った箱をエレベータの様に上昇させる仕組みである。
さらに、非常放流主ゲートと河川維持放流主ゲートには引張りラジアルゲートを採用している。
これは、通常のラジアルゲートを上下流方向に逆に取り付けたかたちをしており、構造的に負荷が低減されるため強度な剛性を必要としない。
これによりコストが削減できるという優れたゲートなのである。
ダムサイトは公園になっており、人々が思い思いに散策を楽しんでいた。
沖縄のダムは人々に愛でられているという事を感じたダムだった。

下流左岸より堤体を眺める。
色白なロックフィルダム。

天端を眺める。
舗装がおしゃれだ。

街灯もこの様におしゃれ。
誰かがデザイナーズダムと呼んでいるのも頷ける。

天端より下流を眺める。
直下は緑の芝生が美しい公園になっている。

洪水吐は自由越流式。

奥が常用洪水吐、右側が非常用洪水吐であろうか。

洪水吐からの導流部。

下流より堤体を眺める。

緑の芝生と、白い堤体のコントラストが美しい。

エアーリフト魚道設備。
この建物から魚たちがエレベータに乗る。

魚道の出口は、天端左岸の公園にある。
ここから数百メートルの小川を通ってダム湖へ注がれる。

その小川の先の出口。やっとここでダム湖に注がれる。
中央の建物はインクラインの船舶格納庫。

ダム湖側左岸より堤体を眺める。

選択取水設備。
何気ない取水設備に見えるが、エアーロック式の最新型なのだ。
スペック
| ダム名 | 羽地(はねじ)ダム |
| ダム型式 | ロックフィル |
| 河川名/水系名 | 羽地大川/羽地大川水系 |
| 所在地 | 沖縄県名護市羽地字川上 |
| 位置 | 北緯26度36分26秒 東経128度01分18秒 |
| 着工年/完成年 | 1976年/2004年 |
| 用途 | 洪水調節、農地防災/不特定用水、河川維持用水/かんがい用水/上水道用水 |
| 堤高 | 66.5m |
| 堤頂長 | 198.0m |
| 堤体積 | 1,050,000立方m |
| 流域面積 | 10.9平方km |
| 湛水面積 | 115ha |
| 総貯水容量 | 19,800,000立方m |
| 有効貯水容量 | 19,200,000立方m |
| ダム湖名 | 蔡温あけみお湖 (さいおんあけみおこ) |
| 管理 | 内閣府沖縄総合事務局 |
| 本体施工者 | 佐藤工業・國場組 |
水位
| 設計洪水位 | EL 71.5m |
| 洪水時最高水位(サーチャージ水位) | EL 68.7m |
| 平常時最高水位(常時満水位) | EL 65.0m |
| 洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | – |
| 最低水位 | EL 33.0m |
放流設備
| 用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
|---|---|---|---|
| 非常用洪水吐 | 自由越流式 | 1門 | |
| 常用洪水吐 | 自由越流式 | 1門 | |
| 非常放流ゲート | 引張りラジアルゲート | W1.15m×H1.15m×1門 | |
| かんがい用水放流ゲート | スルースバルブ | Φ0.9m×1条 | |
| 河川維持用水等放流ゲート | 引張りラジアルゲート | W0.31m×H0.31m×1門 |
アクセス
沖縄自動車道許田ICより、国道58号線を北上。
5.63km走ったところに名護漁港という交差点が現れるので、ここを右折して県道71号線に入る。
3.76km走ると、再び国道58号線が現れるので、国道に戻り北上。
1.5kmほど走ると、羽地ダムの標識が現れるので、その通りに右折。
しばらく走ると左手に羽地ダムが見えてくる。
駐車場が多数あるので、お好みの場所に車を停めて見学するとよいだろう。



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