国土交通省が所有する多目的ダム。
洪水調節の他、上水道用水の確保を目的としている。
堤体は堤高90.0mの重力式コンクリートダムで、2010年に完成したまだ新しいダム。
とはいうものの、所々コンクリートの汚れが目立ち、少々残念に思える。
施工時についた汚れだというが、ダムは今後100年この地に鎮座するのだから、完成時にクリーニングはするべきだと感じた。
そうはいうものの、このダムは魅力的な設備が多数ある。
非常用洪水吐からの導流部のデザインは非常に美しく、おまけにスキージャンプ式。
利水用放流管は、通常は空中に向けて放流するが、このダムでは水中放流をおこなっている。
これにより、騒音が抑えられるとのこと。
また、減勢工である副ダムの造りもかわっている。
副ダム堤体に四角い穴が4つ開けられており、それぞれ向きや高さが違う。
副ダムの水位によって流出する穴が異なるのだ。
選択取水設備も一般的なものではなく、連続サイフォン式(エアロック式)を用いている。
これは、空気の力を利用して止水するもので、このダムの他、沖縄の羽地ダムでも採用されている新しい方式である。
これは大変珍しい造りで、他のダムで見かけることは無いだろう。
近隣に道の駅があるので、近くに行った際はぜひ見学をしていただきたいダムである。
下流直下より堤体を眺める。
堤体上部が黄ばんでいるところが残念。
非常用洪水吐はラジアルゲートが2門。
おまけにスキージャンプ式だ。
右岸上流側より堤体を眺める。
取水設備が天端レベルの高さまで無い変わった構造。
連続サイフォン式なので、高さが必要ないのだ。
予備ゲート群。
天端を眺める。
自動車での通行可能。
天端より下流を眺める。
副ダム式の減勢工。
副ダムの堤体に穴が。
4つの穴は、全て向きが異なっている。
副ダムのアップ。
施工業者泣かせの構造だ。
下流正面より堤体を眺める。
シンプルなデザインだが、よく見ると合理的な複雑さを感じる。
右岸より堤体を眺める。
襟の部分がもっと白かったらなぁ。
ダムコン。
当然最新式だ。
スペック
ダム名 | 尾原(おばら)ダム |
ダム型式 | 重力式コンクリート |
河川名/水系名 | 斐伊川/斐伊川水系 |
所在地 | 島根県雲南市木次町大字北原地先 |
位置 | 北緯35度13分29秒 東経132度57分04秒 |
着工年/完成年 | 1987年/2010年 |
用途 | 洪水調節、農地防災/不特定用水、河川維持用水/上水道用水 |
堤高 | 90.0m |
堤頂長 | 440.8m |
堤体積 | 690,000立方m |
流域面積 | 289平方km |
湛水面積 | 230ha |
総貯水容量 | 60,800,000立方m |
有効貯水容量 | 54,200,000立方m |
ダム湖名 | さくらおろち湖(さくらおろちこ) |
管理 | 国土交通省 |
本体施工者 | 清水建設・飛島建設・東亜建設工業 |
水位
設計洪水位 | |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | EL 216.5m |
平常時最高水位(常時満水位) | EL 205.0m |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | EL 195.5m |
最低水位 | EL 174.0m |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
非常用洪水吐 | ラジアルゲート | 2門 | |
常用洪水吐 | |||
選択取水設備 | 連続サイフォン式 |
コメント
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