王滝川最上流部に位置する、関西電力(株)保有の発電専用のダム。
戦前に造られたダムの中では、かなり堤高が高いダムだった。
堤体は歴史を感じさせる風格で、コンクリートの色が黒ずみ、所々に苔が生えていた。
洪水吐からの水は導水トンネルを通り、一山超えた河川に放流している構造が面白い。
クレスト部のゲートはローラーゲート2門だが、以前はラジアルゲートだったようだ。
発電用の取水口は堤体に造られており、その構造は丸みをおびていて、歴史を感じさせるデザイン。
このダムまでの道のりは至って険しい。7.4km手前から車両通行止めなので、徒歩で散策するしかない。
通行止めゲートから歩くこと約2時間、左手に三浦ダムが現れる。
ハイキング気分で訪れたいダムだ。
林道を7.4kmほど歩くと目の前に堤体が見えてくる。
堤体にはゲートが配置されていない。
横より堤体を眺める。
良いように苔むしている堤体。
下流の建物は発電所。
直下より堤体を眺める。直下には河川はない。
代わりに、ダムより取水された水路がある。
それ以外は土の広場になっている。
天端を眺める。
ダム湖側には点検用の屋根付き廊下がある。
このため、天端からダム湖は見えない。
天端より下流を眺める。
奥に発電用の水路が見える。
白い建物は発電所。
その他は大きな空き地になっている。
堤体直下にある水路。
ダムのゲートからの水路ではない。
堤体右側についている非常用洪水吐と取水塔。
クレストゲートはローラーゲート2門。
昭和63年まではラジアルゲートだったらしい。
取水塔の形もおしゃれ。
ゲート越しにダム湖を眺める。
水量が少ないか?
クレストゲートの先。
トンネルになっている。
一山挟んだ河川に放流される。
右下に見えるものはクレストゲートから続くトンネル。
左手前にちょっとだけ写っているコンクリートは堤体。
右奥に堤体。
左は非常用洪水吐からの水を流す河川。
左岸に設置されているインクライン。
大がかりなものではなかった。
堤体付近右岸側よりダム湖を眺める。
小さなダム湖に見えるが、実は相当広い。
同じくダム湖を眺める。
スペック
ダム名 | 三浦(みうら)ダム |
ダム型式 | 重力式コンクリート |
河川名/水系名 | 王滝川/木曾川水系 |
所在地 | 長野県木曽郡王滝村三浦国有林内 |
位置 | 北緯35度49分27秒 東経137度23分38秒 |
着工年/完成年 | 1932年/1945年 |
用途 | 発電 |
堤高 | 83.2m |
堤頂長 | 290.0m |
堤体積 | 507,000立方m |
流域面積 | 73.4平方km |
湛水面積 | 280ha |
総貯水容量 | 62,216,000立方m |
有効貯水容量 | 61,600,000立方m |
ダム湖名 | 三浦湖(みうらこ) |
管理 | 関西電力(株) |
本体施工者 | 間組 |
水位
設計洪水位 | |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | – |
平常時最高水位(常時満水位) | EL1304.1m |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | – |
最低水位 | EL1257.1m |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
洪水吐 | ローラーゲート | 7.00m×8.31m×2門 | 460m3/s |
発電所使用水量 | 17.5m3/s |
アクセス
高速道路から離れている場所にあるため、長野県の木曽福島町からのアクセスを記載させてもらう。
木曽福島町を走る、国道19号線、元橋交差点から王滝方面へ向かう。
10kmほど走ると、左手に牧尾ダムが見えてくる。
時間があればこちらを見学すると良いだろう。
さらに進むこと8km。
道はだんだんと狭くなってくる。
懲りずに突き進む。
4kmほど走ると、この道の終点、滝越集落に到着する。
さらにここから突き進む。
道は二手に分かれるが、ここは左手を選択。
林道滝越三浦線に入る。
1kmほど走ると道はゲートで封鎖される。
ここからが本番である。
飲料水を右手にもち、7.4km歩く。
一部はダートだが、ほとんど舗装されているので気軽な格好で良いだろう。
精根尽きた頃に、目の前に三浦ダムの堤体が現れる。
途中、道は二手に分かれるが、左に行くと堤体直下、右に行くと天端である。
お好みで選択すると良いだろう。
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