静岡県が管理する多目的ダム。
治水の他、伊東市の上水道用水も確保している。
ロックフィル型式の堤体で、堤高は63m。
リップラップには草が生い茂っており、一見アースダムに見える。
非常用洪水吐はロックフィル型式によく見る自由越流式で、常用洪水吐は外からは見えないが、文献によると朝顔式の洪水吐を装備している模様。
ダムサイトは観光地化され、ダムを周回できるコースや、堤体を登り降りできる階段、資料館や各種広場があり、見所が多数ある。
暖かい風のない日に、弁当を持って出かけたくなるダムだ。

下流より堤体を眺める。
草ぼうぼうの堤体。
右の建物は管理所。

貯水池より堤体を眺める。
貯水池の名前は松川湖。
左奥に堤体が見える。
手前は公園だが、水量が多くなると水没する。

洪水吐と堤体を眺める。
左の四角い建物は常用洪水吐と思われる。
管理所の辺りにあるのが自由越流式の非常用洪水吐。
その右隣が堤体。

インクライン。
右岸に設置されている。
管理所から離れているので、さぞかし管理が大変だろう。

左岸下流側より堤体を眺める。
草ぼうぼうの堤体。
観光地化されているので、もうちょっとおしゃれして欲しい。

左岸に設置されている管理所。
一階が道路になっている。

天端を眺める。
下流側は花壇になっており、大変良く整備されている。

天端から堤体直下に続く階段。
直下は公園になっている。

左奥の建物は利水用の取水塔。
その右の四角い建物は常用洪水吐の母屋。
その右隣のコンクリートが非常用洪水吐。
そして、その右隣が管理所。

常用洪水吐の母屋。
スクリーンが見えるが、文献によると、この奥に朝顔式の洪水吐がある模様。

自由越流式の非常用洪水吐。
左に見えるコンクリートの壁が気になる。

非常用洪水吐のアップ。
何となく、奥のラインが美しい。

非常用洪水吐からの導流部。

その先の減勢工。

下流から導流部を眺める。
常用洪水吐から取水されたと思われる水が、導流部の中央にある吐口から流れ出ていた。

減勢工の右にある、利水用と思われる吐口。

副ダムには2つの穴がある。

下流はこんな感じ。
雨が降ると、川幅いっぱいに増水するのだろうか。
スペック
ダム名 | 奥野(おくの)ダム |
ダム型式 | ロックフィル |
河川名/水系名 | 伊東大川/伊東大川水系 |
所在地 | 静岡県伊東市鎌田字横堀 |
位置 | 北緯34度56分09秒 東経139度04分11秒 |
着工年/完成年 | 1972年/1989年 |
用途 | 洪水調節、農地防災/不特定用水、河川維持用水/上水道用水 |
堤高 | 63.0m |
堤頂長 | 323.0m |
堤体積 | 1,804,000立方m |
流域面積 | 11.7平方km |
湛水面積 | 31ha |
総貯水容量 | 5,100,000立方m |
有効貯水容量 | 4,600,000立方m |
ダム湖名 | 松川湖(まつかわこ) |
管理 | 静岡県 |
本体施工者 | 鹿島建設・熊谷組 |
水位
設計洪水位 | EL 153.5m |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | EL 151.0m |
平常時最高水位(常時満水位) | EL 138.0m |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | EL 135.5m |
最低水位 |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
非常用洪水吐 | 自由越流式 | 66m | |
常用洪水吐 | 自然調節式 | Φ1,360mm×1条 |
アクセス
西湘バイパス石橋ICより、国道135号線を伊東方面に直進、真鶴道路、熱海ビーチラインと、多数の有料道路でお金を使い、伊東市内まで走る。
ホテル「サンハトヤ」が見えてくる手前で、旧道が右に分岐する。
ここを右折。
旧道に入る。
2.86km走ると、東松原町という、県道12号線との交差点にさしかかる。
ここを右折。県道12号線に入る。
1.22km走ると、広野2丁目という交差点にて、県道12号線が二手に分かれる。
右が旧道、左が新道だ。左折して、新道を進む。
伊豆急行の線路をくぐりながら3.61km進むと、城の平という交差点にさしかかる。ここを右折、県道12号線をトレースする。
あとはそのまま直進。
1.29km走ると奥野ダムの看板があるので、それに従い、左折すると奥野ダム天端に到着する。
なお、天端脇の駐車場の他、随所に駐車場があるので、車を駆使してダム見学をすると良いだろう。
コメント
面白いサイトですね。伊東市の元住民です。奥野ダムができる前には奥野という小さな村がありました。中学生の頃、このあたりにわらび狩りに来たりキャンプをしたこともありました。あの源頼朝が伊豆へ島流しにされた時、この辺りにいたそうです。ダムができる前にはそんな案内板も立っていました。今は松川湖の底です。松川(伊東市民は大川と呼ばずに松川と呼んでいます)は過去に何度か氾濫していますが、このダムは川の水量の割にかなり大きく氾濫の可能性はほぼゼロのようです。