兵庫県が所有する多目的ダム。
1957年に完成し、かれこれ50年以上の歴史を持つオールドダムである。
堤体はごく普通の重力式コンクリートダムだが、所々に曲線が使われているところが古風なダムらしい。
クレスト部には真紅に塗装されたラジアルゲートが2門。
この部分だけ見ると、まるで中部電力所有のダムに思えてくる。
その他の放流設備としては、バルブっぽい謎のものが1条見受けられた。
現地の案内板によると、これはジェットフローゲートとのこと。
以前はハウエルバンガーバルブが設置されていたらしい。
よく見ると、設置部分に違和感がある。
このダムの特徴は、ダムそのものというよりも、近隣にある見学コースであろう。
ダム建設時の建造物が、朽ち果ててはいるがそのまま残されており、散策コースの所々に点在しているのである。
肝心なダムは、散策コースからは木々が邪魔してちらりとしか見えないが、これらの建造物を見られるので十分楽しむことができる。
ダム下流も開放されており、減勢工の中にまで立ち入ることができる。
減勢工の中には、人工的に木が植えられていたと思われる遺物があり、建設当時から見られる・触れられることを意識した開放的な造りであったことがうかがえる。
なかなかフレンドリーなダムなので、近隣を訪問した際はぜひ訪れて頂きたいダムである。
正面より堤体を眺める。
クレスト部にラジアルゲートが2門。
オリフィス部にホロージェットバルブが1条。
ラジアルゲートのアップ。
完璧な中部電力(株)カラーだ。
オリフィス部にあるジェットフローゲート。
設置方法が何だか変だ。
左岸より堤体を眺める。
天端に設置されているゲート機械室。
天端を眺める。
天端の道は機械室によってクランク状になっている。
左岸に設置されている取水設備。
天端より下流を眺める。
散策路より堤体を眺める。
宙に浮かんでいる傘をひっくり返したようなものは、ゴミ取り装置。
右岸の散策路。
ダム建設時、ここにはクレーンが設置されていたとのことだ。
バッチャープラント跡。
「廃」がお好きな人にはたまらない物件だろう。
減勢工に立ち入ることができる。
減勢工内にあった構造物。
人工的に木が植えてあった模様。
ダム湖を眺める。
スペック
ダム名 | 引原(ひきはら)ダム |
ダム型式 | 重力式コンクリート |
河川名/水系名 | 引原川/揖保川水系 |
所在地 | 兵庫県宍粟市波賀町日ノ原 |
位置 | 北緯35度13分51秒 東経134度32分20秒 |
着工年/完成年 | 1953年/1957年 |
用途 | 洪水調節、農地防災/不特定用水、河川維持用水/工業用水/発電 |
堤高 | 66.0m |
堤頂長 | 184.4m |
堤体積 | 180,000立方m |
流域面積 | 57.5平方km |
湛水面積 | 88ha |
総貯水容量 | 21,950,000立方m |
有効貯水容量 | 18,400,000立方m |
ダム湖名 | 音水湖(おんずいこ) |
管理 | 兵庫県 |
本体施工者 | 熊谷組 |
水位
設計洪水位 | |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | |
平常時最高水位(常時満水位) | |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | |
最低水位 |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
非常用洪水吐 | ラジアルゲート | 2門 | |
常用洪水吐 | ジェットフローゲート | 1条 |
アクセス
中国自動車道山崎ICより、国道29号線を鳥取方面へ北上。
ひたすら32.8km走ると左手に引原ダムが見えてくる。
天端の脇に駐車場があるので、こちらに車を停めて見学するとよいだろう。
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