山梨県所有の発電専用ダム。
南アルプスの山中にあり、ダム湖は奈良田湖という名前で親しまれている。
このダムより最大15.00m3/sの水が取水され、西山発電所にて最大18,800kWの電力を生み出している。
山梨県営では一番古い水力発電所との事だ。
堤体は重力式コンクリートの型式で、オーソドックスなスタイルだが、よく見るとゲートの位置が通常のダムとは違う事に気づく。
非常用洪水吐と思われる、3門のローラーゲートよりも高い位置に、常用洪水吐と思われるゲートがある。
その上、そのゲートは、堤体のだいぶ右岸側に設置されているので、非常に滑稽な造りに見える。
ゲートの位置を、クレスト、オリフィス、コンジットという表現で表すが、このダムに関しては、どのゲートをクレストゲートと表現すれば良いのか迷ってしまう。
また、ダム湖は堆砂が激しく進んでいる様子がうかがえる。
ダム湖の中に小さな島があるが、これは堆砂によるものなのだろうか。
それとも、あえて島を残したのだろうか。
全く以て謎が多いダムである。
下流正面より堤体を眺める。
ここから見るとオーソドックスな重力コンクリートダムだが、よく見ると何か変。
放流の様子。
堤体にひびが入っているように見えるが、大丈夫だろうか。
また、左からも水が流れて落ちている。
カメラを左に向けたアングル。
あぁ、あそこから放流しているのか。。。
しかしまぁ、あのゲート、非常用洪水吐より高い位置にあるなぁ。
常用洪水吐と思われるゲートのアップ。
下流の様子。
正面やや右側に砂防ダムが見える。
この地域はフォッサマグナに近いため、堆砂が激しい場所が多い。
左岸横より堤体を眺める。
オーソドックスなスタイルだが、美しさを感じる堤体だ。
天端を眺める。
残念ながら立入禁止だった。
右側に西山発電所の取水設備が見える。
西山発電所の取水設備。
作業員の方が整備点検をしていた。
堤体付近よりダム湖を眺める。
この写真ではよく分からないが、相当堆砂が進んでいる様子がうかがえた。
中央部にある島は、その影響なのだろうか。
まだまだ満水ではないらしい。
あと50cmは貯められるだろうか。
ゲートのアップ。
常用洪水吐と思われるもの。
自然調節式だと思われる。
ドロップローラーゲートというものでした。
上流にある奈良田第一発電所からの放流口。
勢いよく水が流れ出ていた。
上流より堤体を眺める。
このダム湖の水は、いつもこんな色をしている。
スペック
ダム名 | 西山(にしやま)ダム |
ダム型式 | 重力式コンクリート |
河川名/水系名 | 早川/富士川水系 |
所在地 | 山梨県南巨摩郡早川町奈良田下草里 |
位置 | 北緯35度34分11秒 東経138度17分59秒 |
着工年/完成年 | 1954年/1957年 |
用途 | 発電 |
堤高 | 40.6m |
堤頂長 | 112.3m |
堤体積 | 40,000立方m |
流域面積 | 192平方km |
湛水面積 | 24ha |
総貯水容量 | 2,382,000立方m |
有効貯水容量 | 313,000立方m |
ダム湖名 | 奈良田湖(ならだこ) |
管理 | 山梨県 |
本体施工者 | 鹿島建設 |
水位
設計洪水位 | |
洪水時最高水位(サーチャージ水位) | – |
平常時最高水位(常時満水位) | |
洪水貯留準備水位(洪水期制限水位) | – |
最低水位 |
放流設備
用途 | 形状 | サイズ | 放流能力 |
---|---|---|---|
洪水吐 | ローラーゲート | 3門 | |
洪水吐 | ドロップローラーゲート | 1門 | |
発電所使用水量 | 西山発電所(山梨県) | 15.00m3/s |
アクセス
中央自動車道甲府南ICから、国道358号線を甲府市街方面へ走る。
950m走ると、笛南中北という交差点にさしかかるので、ここを直進、国道140号線に入る。
そのまま国道140号線を走り、1つのトラップを越えて笛吹川&釜無川にかかる三郡西橋を渡る。
渡り終えると、国道140号線は左に曲がっているので、その通りに左折。
そしてすぐに、国道52号線との交差点にさしかかる。
この交差点を左折、国道52号線を身延方面へ走る。
約18.7km走ると、上沢という交差点にさしかかる。
ここを右折、県道37号線に入る。
あとはひたすら、早川と共に走るのみ。
34.51km走ると、左手に西山ダムが見えてくる。
堤体の脇が広くなっているし、ちょっと離れた所に駐車場があるので、こちらに車を停めて見学するとよいだろう。
また、このダムの下流に雨畑ダムがあるので、こちらの見学も合わせておすすめする。
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